猿にiPhoneを持たせてはいけない
昼休みどきの中華料理屋で、向かい合わせになっているのに一言も喋らず、ただひたすら手持ちのデバイスに没頭している2人のサラリーマン
寝ている子供を抱いた奥さんが話しかけているのに上の空の亭主、だらしなく脱ぎかけたサンダルを履き直しもせず、せわしなく指を動かしているのは携帯ゲーム
刻々と変わりゆく夕暮れに気付きもせず、各々の携帯を見ながら合わせているのは歩調のみ、公園でデートしている筈の恋人たち
電車で一様に携帯を見ている様が異様なのは
もしかしたら
「見たい」「やりたい」欲望が制御出来てないのがダダ漏れだから?
欲望が制御出来ないのは動物
猿にiPhoneを持たせてはいけない
猿にテクノロジーは必要ない
私自身は
欲望を制御しようと試みる猿
アンダーグラウンドは何処に
この会場にいたことを誇りに思わない人は恐らく一人もいないだろうーレインボー2000
アンダーグラウンドはもう存在できない
【マダム】昨晩亭主と、80年代ディスコブームを起点とした、EDM全盛期とも呼べる現在までのパーティシーンについて話してまして。
会話を進めて行くうちに私個人の帰着として、
「アンダーグラウンドはもはや存在が出来ない」
という結論に至ってしまいました。
存在しない、というより、存在出来ない。
若さと引き換えに積んで来た経験
亭主の言い分;今の若い世代は最先端で何を見ているのだろうか・もしくはこれからまだ「あの狂乱と情熱の時代」「ああいったムーブメント」=今世の中で自分達が一番楽しんでるという、傲慢にも近い自負を携えて没頭出来るような、そんなムーブメントが再び訪れる日は来るのだろうか、
それが気になると言ってまして。
そして、もしそんな展開やコンテンツやアーティスト、波が来た暁には敏感に受け取れる自分でいたいとも。
亭主齢46を越えて仕事仕事の毎日、恐らくそれはある種の加齢によるセンチメンタリズムではないかと私は言いました、第一線を退いたオヤジの呟き。赤提灯が見えるわよ、アナタ。
でも、
以前にもお話したように、
ザマさんにとってのレコード屋におけるトーキングヘッズとの邂逅のような、
sukinisaseteyo.hatenablog.com
誰しもが持ち得る、音楽や芸術やムーブメントによる「…!!」
そう、あのアハ体験(古い)。
亭主続けます、
年も時代も感覚も「あの頃」とは変わっている今、再びそういった感動を得る日は本当に来るのかと。
自らが欲し続ける限り、内的体験の為の門戸は開き続けるつもりだ、その心積もりは常にしているがー
ネットによる情報共有と疑似体験は「アンダー」を「オーバー」に変換してしまう
やっぱりインターネットの誕生ですよね。
インターネットが全てを変換した。
この前提を踏まえて私は、
ネットが個人の嗜好を細分化し続ける以上、またはグリッドから意識的にドロップアウトしない限りは、「あの感覚」の再訪は否=虚しい希望かもしれない、と考えるのです。
fbを見れば世界中のあらゆる情報が目の前を流れて行きます、そこにはキャプションが付き、共有した人の感情が次々と刻印されていく。それを見ることは疑似体験に近い。
そしてそれは「現場感」が伴わないゆえに均一化された情報として、実際に経験する手前で脳に知覚されてしまう。
今後はVRやMRによって現実と仮想の境目がより曖昧になっていく筈で、「体験」そのものの再定義がなされていくでしょう。
わかる人にわかる
暗闇の中を大音量で音楽を聴きながらボクササイズをするという、
ソウルサイクルの次の一手的なジムがオープンしたらしい。
これは相当アドレナリン出る筈。
後は実際かかってる音がどんなもんか。HPの動画だと、エクササイズにしてはちょっとBPMが遅くないか、
プロモーション用なら仕方ないか。
亭主語りて、
「そういや昔六本木にあったジオイドのバックステージで、スーツ着たヤクザがひたすらシャドーボクシングしてたな。
あれは煩わしかった笑」
と。
実にシネマチック・・・北野たけしの映画にありそう!。
と思わず笑ってしまったのだが、本質的には近いものがあるだろう。
一丁試してみたい、NY風エクササイズ。
www.b-monster.jp
斜陽世界のエレクトロミュージック
斜陽感。
欧州エレクトロミュージックシーンを席巻している「気分」はコレなんじゃないかと思う。
叙情的、繊細、メランコリック。
浮遊感、トリップ、時々エキセントリック。
UKからはFKA TWIGS、以前このブログ内でも言及したHONNE、
sukinisaseteyo.hatenablog.com
ドレイクやビヨンセの妹・ソランジュコラボで火がついた「スピリチュアルヴォイス」のSampha、
今週のヘビーローテションは次世代エレクトロR'n'BデュオのTwo another。
(70年代ソウルをバックグラウンドに持つ白人2人、J Dillaのフォロワーらしい。そうかそうか。)
上がり過ぎず下がり過ぎずが丁度いい。
極太ベースラインとセンシュアルなメロディが効く。
soundcloud.com
フランスからはFrench Kiwi Juice。
パーティ明けに皆んなで自転車に乗ってドライブしたんだ、みたいな、なんてことないPV。
成る程、Skyline。
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もう1人フランスのDJ Kartellのこのビデオはまさに欧州の「今」が濃縮されているような一本。昨年リリースされた新譜「Last Glow」より
[http://:title]
アルバムタイトルにもなっている「Last Glow」
緩いのにどことなく乗せられていく疾走感が病みつきに。
soundcloud.com
翻って日本では子供向けアニメの主題歌すらもEDM全盛になっていて=所謂業界のA面とでも言おうか、「そんなに子供の脳までドライブさせないでくれ」と、うんざり至極。
でも子供のスピリッツに斜陽は要らないから、
これはやはり大人の嗜みというところ。
マダムのショートショート 〜The Low 3〜
雀の剥製は小さくて軽い。
ブツを受け取る為に入ったオフィスではスキンヘッドの用心棒野郎が居眠りを漕いでいて、こいつとも一悶着あったのだが、話したところでどこにも救いはないのは分かり切っているので省くことにする。
底辺の、底辺による、底辺の為の言い争い。
俺は港に向かうことにした。
雀がちゃんと「そこにいるか」、時々ポケットに手を入れて感触を確かめる。柔らかな羽先が肌を撫でる。よしよし。こいつがなくては話にならない。
通りに出ると、海風が潮の香りを運んでくる。
海は嫌いだ。
昔、俺には8つ年上の兄貴がいたが、台風の日に波乗りをしに行って、死んだ。
引き揚げられた死体を見て親父は泣き崩れ、オフクロは半狂乱になった。モノホンのキチガイになるのに、たいして時間はかからなかった。
今も精神病院から出てこられない。
モニターの女に言われた波止場の店なら既に見当が付いている。万年開店休業中で、アル中一歩寸前の私立探偵、それが俺。
店のドアを開けて中に入った、
いや驚いたね俺は。
ぐうの音も出ないような素晴らしい出っ尻がこっちに向いている。俺に向かって。
俺は暫く阿呆みたいにして突っ立ってた。
こんな尻、次はいつ拝めるかわからない。
思わず手を合わせそうになった時、出っ尻の持ち主が上半身をよじってこちらを振り向いた。
「難しい局面なのよ、今」
女はビリヤード台に屈みこんでおり、台を囲んで数人の客が台と女を交互に見比べていた。
往年の名ゲーム、8ボール。
「俺で良ければ代わりに打ちますよ、レイディ」
言った側から後悔したが、この尻を目にした後では仕方がないことだし、俺に付ける薬がないのは生まれた時からわかりきってることだ。
俺はカウンターに上着を置いた。