ショートショート
雀の剥製は小さくて軽い。 ブツを受け取る為に入ったオフィスではスキンヘッドの用心棒野郎が居眠りを漕いでいて、こいつとも一悶着あったのだが、話したところでどこにも救いはないのは分かり切っているので省くことにする。底辺の、底辺による、底辺の為の…
なんだかやけになまぬるい風が吹く夕方だ。うちを出ると目の前を黒猫が横切った。やたらと尻尾が短いやつだが、近親相姦で生まれるというのは本当だろうか?店には15分も早く着いた。俺は遅刻が嫌いだ。ドアを開けると、モニターにブロンディが映っている、…
ーバロウズに捧ぐ 午後3時にかかってくる電話にロクなものはない。 「日曜日の午後3時というのは何かをするには遅すぎるか、早すぎるのどちらかだ」と言った作家がいたような気がするが、思い出そうとするにはあまりにもテレビがうるさすぎる。 朝11時まで飲…
締め切ったカーテンからわずかに溢れる朝靄の光、2人の人間が気兼ねなく寝返りを打つには少し窮屈なセミダブルのベッド、糊がついていないためにかえって馴染みやすいシーツは角からめくれて剥き出しのスプリングマットに裸の爪先が触れる。 傍らの女はこち…