ストーンズ
BS TBSで、ストーンズがフューチャーされていた。SONG TO SOULという音楽番組だった。
昨年リリースされた新譜「BLUE & LONESOME」を私は知らなかったのだが、チャンネルパトロールを止めた亭主につられてテレビを見上げると、ブラックスパンコールのタイトなジャケットを着たロン・ウッドが相変わらずキラキラした目で語っているのが目に入った、私は思わず呟いた、
「エレガント…!」
無意識に自分が発した言葉で気付いたのだが、稀代の不良青年達は、世界中でロックンロールし続けてきた結果、極めてエレガントな存在になっていた。
インタビューに答えるメンバー達はまごうことなき爺さん連ではあるけれど、相変わらずの身のこなし、身体を縁取るキレの良い輪郭、フサフサの髪の毛(何故ロッカーにはつるっぱげがいないのか?)ー。
「相変わらずかっこいいジジイ共だな!」
数年前、来日コンサートに行ったきりの亭主がグラスにウィスキーを注ぎながら呆れるように言う。
新譜は全編ブルースなの?と問うと、
「やつらのベーシックに戻ったんだろ」
最前線を走り続けて尚、初期のフォーマットをキープしながらスパークするという神業、
まさしくシャイン・ア・ライト。
無駄なものは常にわかっていて、
そろそろベーシックなやつを愉しもうぜなんていうのは、まさに70才だから堪能出来る領域なんじゃないの。
かつてのロック、セックス、ドラッグの溢れ出る才能と金、唯一無二の魅力ー。ステージでガリガリに痩せた身体をビンビンに跳ねさせていたあの頃から、このエレガンスを誰が想像し得ただろう?
全編に鳴り響くミックのブルースハープ、チャーリー・ワッツがこう説明する、
「みんなミックのボーカルのことばかり言うが、奴のハーモニカは凄いんだ、たいした才能だよ」
いつが終わりなんて誰にもわからない、
明日どうなるかなんて分かった試しはない、
でもミックが踊れて、チャーリーの背中がもって、キースの指が動く限り、俺たちはやり続けるよ、とスマイルする笑顔の皺に、私達は限りない敬愛の念を表する。
ただ好きなように転がり続けるだけさと言い切れるロックスピリッツにこそ、エレガンスの極致がある。