ハリウッドバビロンを仰いで
【ザマ】マダム、VICEの高級娼婦を取り続ける女性カメラマンの記事読んだ?
【マダム】読んだ読んだ。インタビュー中の、
>『オズの魔法使い』のカーテンの裏側を見ちゃったみたいになるわ。
ってコメントが(笑)。
ジュディ・ガーランドは14の時からアンフェタミン中毒だったんですもんね。
【ザマ】ケネス・アンガーが書いた「ハリウッド・バビロン」マダムならはまるんじゃない?
【マダム】ケネス・アンガー…
何か遠い昔の薄〜い記憶を掘り起こされるような響き…
…思い出した。て言うか、封印してた笑。
断片的にその強烈なカルトさ、トラウマ感を思い出すのみなんだけど、あれケネス・アンガーだったのか!
凄いですね、マリアンヌ・フェイスフル出演!!
そのあと確かぶっ通しで、村上龍原作の「オーディション」て邦画を観て、脳ミソが犯された19の夜。
ハリウッドの退廃繋がりでアレ思い出した、
「レス・ザン・ゼロ」。
【ザマ】レスザンゼロ 懐かしいな。
映画も原作の小説も好きです。読むのは翻訳ものですが、アメリカ文学が好きでフィッツジェラルドやヘミングウェイからサリンジャー、アップダイクと読んできて、
ブレット・イーストン・エリスの「レス・ザン・ゼロ」やジェイ・マキナニー の「ブライトライツ・ビッグシティ」に出会った時は同じ流れを持つ新しい作家が出てきたなあと当時思ったものでした。
映画だと「リアリティー・バイツ」とか、ガス・ヴァン・サントの「ドラッグ・ストアー・カウボーイ」や「マイ・プライベート・アイダホ」あたりがかぶるかな?
【マダム】リバー・フェニックスは親がまたカルトコミュニティの人でしたよね。辛すぎ。
【ザマ】ブレット・イーストン・エリスはその後「アメリカン・サイコ」というとんでもない(褒め言葉です)小説を書くのですが、無理くり繋げれば、村上龍の「オーデション」に通じるものがあるかも?
映画「オーデション」は本当に素晴らしかった。タランティーノ制作、イーライ・ロス監督の「ホステル」を観ると三池崇史の「オーディション」から多大の影響を受けているのがわかる。
なんせイーライ・ロスは三大ホラー映画として『シャイニング』『エクソシスト』の次に『オーディション』をあげている位だし、
タランティーノは大の三池好きなのだから当然と言えば当然だ。
そんなものを19歳で観たら、まあダメだよね。
ケネス・アンガーは前はYouTubeで観れたけど、今はどうだろう。
マダムが観たのは多分「ルシファー・ライジング」でしょうね。
【マダム】イカれちまった悦びに、てなわけで。
【ザマ】「レス・ザン・ゼロ」のロバート・ダウニー・Jrの男娼にまでの落ちっぷりが結構衝撃でいまだに印象に残ってる。
【マダム】小説レス・ザン・ゼロは私にとっても定期的に読み返したくなる逸品です。
映画版では若かりしロバート・ダウニー・Jr.が男娼役を演るんですよね、
あの傷ついた横顔の美しいこと…!
YouTubeでトレイラー流し見するだけでも、未だに胸が裂けそうになりますね、
凄い俳優だと思う。
実際その後ロバート・ダウニー・Jr自身も酒と薬のリハビリで長い間表舞台から姿を消しましたが、近年の完全復活具合って言ったら!!
嫁アゲマン説。ま、彼自身の息子が今度は問題起こしてますが…
完全復活した彼のメインストリーム系の出演映画は観てないんですけど、
キアヌ・リーブスやウィノナ・ライダーが出演している面白いアニメがありますよね、
「スキャナー・ダークリー」。
実際のフィルムを撮ってからCG加工していくっていう。
同じ手法で撮った前作もお勧めで、この監督はリチャード・リンクレイター、
なんと、「恋人達のディスタンス」を撮った人w。
オープニング、トレイラーで観れますけど、この虫酸走ってる描写がウケる。
笑えるようで笑えないような、でもウケる。
【ザマ】これ「ブレードランナー」のフィリップ・K・ディックの原作なんだよね。
「恋人達のディスタンス」の二人もアニメになって登場するよね。
【マダム】あ、そうそう!「ウェイキング・ライフ」。
あの浮遊感と哲学小説読んでるみたいな(字幕を追うからw)感覚、ハマるんですよね〜笑
私もアメリカ文学好き。
サリンジャーは「フラニーとゾーイ」が結構グッと来て。
思春期〜社会に出てからも、あの本を開くと永遠にガラスの破片をかき集めている兄妹に会えるから、なんだかそっと救われたものです。
にしても、この監督凄いですね。
【ザマ】リチャード・リクンレータは大好きな監督で先日も「6才の僕が大人になるまで」を観たけれど。ハリウッド監督とは思えない、個性的な作家主義な監督。
「6才の〜」も10年以上の月日をかけて、実際に6才の僕が成長していくという、とんでもない映画でした。
【マダム】あ〜、それ観たいけど観れてない一本だわ。アメリカン・サイコは観てみなくちゃ。
でも多分三池崇史監督の「オーディション」を上回るトラウマ映画は出て来ない笑。
それで言うとルシファー・ライジングは気狂いの・気狂いによる・気狂いの為の狂想曲といったところで、これもまた一切のブレを許さない。笑
脳ミソ洗いざらい出しちゃって、
ケネス・アンガーという人にとっては、結果的に映画を撮るというのが最終的なプレイだったんじゃないかと。
アメリカン・サイコもオーディションも、日常・隣人のとんでもない狂気っていうコンセプトではありますね。
「レス・ザン・ゼロ」に話戻りますけど、タイトルのカッコ良さは永遠。そして、あの書き出し。
「ロスのハイウェイって、合流するの怖いよね」
この書き出しのインパクトとタイマン張れるのは、康成の「雪国」くらいじゃないですかね。
【ザマ】「レス・ザン・ゼロ」はコステロ曲名から取ってるんだよね。
「ゼロにも満たない」
すごい冷めていると言うか、フィッツジェラルドやヘミングウェイなどらのロスト・ジェネレーションから受け継がれている喪失感に溢れている。
台詞の良さで思ったのは、最近観た「きっと星のせいじゃない」と言う映画がよかった。
最初の語りで、
#「 悲しい話は人それぞれだけど、ピーター・ガブリエルの歌詞でだいたい解決できるわよ。」
なんて台詞がでてきて、それだけで引き込まれる。不治の病物なんだけれど脚本が凄くいいから単なるお涙ちょうだい物になってないんだよね。
【マダム】「きっと星のせいじゃない」、いいんですね。なんか日本で昨今使い捨てになってる不治の病純愛ドラマの焼き増しかと思ってて、「観なくていいフォルダ」に行ってました。
あ、そうだ。ザマさん今度、
「映画史上最強・最高の台詞」大会やりましょうか。笑